デジタル庁が2026年10月30日に公表した政府職員向け生成AI「ガバメントAI 源内」のアンケートでは、回答者は6,439人、満足度の集計対象は3,078人で、そのうち71.7%が「満足」と回答しました。これは政府職員の自己申告による満足度で、民間企業の業務が同じ割合で改善することを示す数字ではありません。自社でAIの効果を確かめるときは、満足度とは別に、確認・修正を含む作業全体の時間と成果物の品質を記録します。
1. 政府のAI利用調査で公表されたこと
デジタル庁は2026年10月30日、政府職員向けの生成AI利用環境「ガバメントAI 源内」(以下、源内)の利用状況アンケート調査(第1回)の結果を公表しました。同日の大臣会見でもこの調査結果が取り上げられたことを、デジタル庁の公式Xが案内しています。
概要資料によると、調査は2026年(令和8年)8月21日~9月18日に、源内を利用する各府省庁等の職員を対象にWebアンケートで行われ、6,439人から回答がありました。一方、満足度の図表の集計対象は3,078人(n=3,078)で、その71.7%(「とても満足している」16.0%、「やや満足している」55.7%の合計)が満足と回答しています。
また公表ページでは、回答者の31.2%が源内をほとんど、または全く利用していないことも示されています。アンケートに答えた人が、全員日常的にAIを使っている人とは限らないということです。なお、第2回の調査は2027年(令和9年)1月頃に予定されています。
ここで大切なのは、71.7%を回答者6,439人全員の割合や、全国の企業の割合に広げて読まないことです。これは行政の利用環境に関するアンケートで、民間企業の仕事が同じ割合で改善することを実証した数字ではありません。
調査の概要と今後の取組:デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査(第1回)の結果を公表しました」(2026年10月30日)/実施期間・回答数・満足度:概要PDF 3~4ページ/会見の告知:デジタル庁公式Xの原投稿。
2. お店のアンケートにたとえると
お店で来店者にアンケートを配り、その中の「ランチを注文した人」だけに味を聞いたとします。ランチの満足度が高くても、来店者全員がランチを食べたとはいえません。また、味の満足度と、提供までの待ち時間は別の話です。
AIの調査でも同じように、まず「誰に、何を聞いた数字か」を確かめます。このたとえは集計対象を理解するためのものです。実際の調査で、どの回答者が満足度の質問の対象になったかを推測で補うものではありません。
資料を読む際は、見出しの割合だけでなく、図の近くにある「n」にも注目します。nとは、その集計の対象になった人数(母数)を表す記号です。同じ報告書でも質問ごとに対象数が違えば、割合をそのまま並べて比較できない場合があります。
3. 自社では、何を測ると判断しやすい?
満足度は使いやすさや継続したい気持ちを知る材料になります。ただ、それだけでは仕事の改善を十分に把握できません。例えば「文章案が早く出た」と感じても、事実確認や書き直しに時間がかかれば、最初から提出までの時間は短くならないことも考えられます。
MiToAからの提案は、導入前に測る範囲を決めることです。「入力する」「案を作る」「確認する」「修正する」「提出する」を一続きの仕事として記録します。AIを動かした時間だけを抜き出さないことがポイントです。
時間と一緒に、必要な情報がそろったか、誤記がなかったか、手直しが何回あったかも残します。早くできても使えない資料では、仕事が終わったとはいえないからです。AIの出力を人がどこで確かめるかは、ヒューマン・イン・ザ・ループの解説も参考になります。
4. 架空の会社で考える、小さく試す4ステップ
ここからは説明のための架空の業務例で、MiToAの顧客事例・導入実績ではありません。卸売会社の営業担当者が、商談後の社内報告の下書きにAIを使う場面を考えます。
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同じ種類の仕事を選ぶ
社内報告の中でも、必要項目や読み手が近いものを選びます。難易度の違う仕事を混ぜて、単純に優劣を決めないようにします。
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最後までの作業を記録する
メモの整理から、AIへの入力、確認、修正、提出までを記録します。AIに入力してよい情報の範囲は、先に社内のルールで確認します。
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読み手にも確かめてもらう
上司が知りたい情報はそろっているか、事実と担当者の推測が混ざっていないかを確かめます。
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時間が増えた理由も残す
使い方に慣れていないのか、元のメモが不足しているのか、より丁寧な分析に時間を使ったのかで、次の改善は変わります。
この進め方で効果を保証することはできません。ただ、「便利だった」という感想を、次に直すべき仕事の話へつなげる材料になります。AIの使い方を社内でそろえる方法は、AGENTS.mdで社内のAI活用ルールをそろえる記事でも紹介しています。
5. 数字を導入の約束に変えない
他組織の調査は、試す価値がありそうな仕事を探す入口です。使うAI、扱う情報、担当者の経験、確認の厳しさが違えば、結果も変わります。アンケートによる実感と、実作業の計測、導入によって起きた変化の証明を、同じものとして扱わないようにします。
自社で試す前に、担当者と読み手が「どこまでできれば仕事が終わりか」をそろえる。試した後は、時間・品質・負担を一緒に振り返る。AIを使うこと自体を目標にせず、仕事のどの部分を良くしたいのかから始めてみてください。
効果を測る項目を来年度の計画に組み込む方法は、来年度のAI予算の立て方で解説しています。
6. よくある質問
Q. 源内アンケートの満足度71.7%は、何人を対象にした割合ですか?
デジタル庁の概要資料では、満足度の図表の集計対象は3,078人(n=3,078)です。アンケート全体の回答者数6,439人とは異なります。71.7%は「とても満足している」16.0%と「やや満足している」55.7%の合計です。
Q. 他組織の満足度調査の結果から、自社のAI導入効果を判断できますか?
そのままでは判断できません。満足度は使いやすさや継続したい気持ちを知る材料ですが、対象者・業務・使うAI・確認の厳しさが違えば結果も変わります。他組織の数字は、試す価値のある仕事を探す入口として使い、効果は自社の業務で確かめます。
Q. 自社でAIを試すときは、何を記録すればよいですか?
AIを動かした時間だけでなく、入力・案の作成・確認・修正・提出までを一続きの仕事として時間を記録します。あわせて、必要な情報がそろったか、誤記がなかったか、手直しが何回あったかなど、成果物の品質も残します。
7. 参考資料と制作について
- デジタル庁:ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査(第1回)の結果を公表しました公開日:2026年10月30日/参照日:2026年11月1日。概要、今後の取組(利用していない回答者の割合、第2回調査の予定)。
- デジタル庁:ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要(PDF)資料の日付:2026年10月/参照日:2026年11月1日。3ページ(実施概要・回答数)、4ページ(満足度とn)。
- デジタル庁公式X:大臣会見(10月30日)の告知投稿日時:2026年10月30日 13:25(日本時間)/参照日:2026年11月1日。会見で利用状況アンケート調査結果に言及したことの告知。
この記事を書いた人
名古屋大学発ベンチャー認定のAIスタートアップ。中小企業を中心に、業務特化型AIエージェントの開発やAI人材育成・内製化支援を展開。「4週間のスモールスタート(MVP開発)」と現場目線の伴走サポートを強みに、IT専門人材が不在の企業でもリスクを抑えたAI活用を実現します。
専門分野:AIエージェント開発 / 業務効率化 / AI人材育成・内製化研修
代表取締役:井上貴雅
公式サイト:株式会社MiToA 公式HP / お問い合わせ・ご相談はこちら
本記事は公開資料をもとに、AIによる調査・執筆補助を用いて作成しています。源内の操作や、自社・顧客の業務での効果測定は行っていません。公表資料にある業務時間の削減に関する数値は、公表ページと概要PDFで表記に差があるため本記事では扱っていません。お店のたとえ・架空の会社の例・測り方は編集上の提案で、公表元の実証結果ではありません。図は独自作成した説明用イメージで、統計グラフや実在の画面ではありません。大学による記事の監修・保証を示すものではありません。
情報確認日:2026年11月1日。訂正のご連絡はお問い合わせ窓口へお願いします。